医師が転職するとき、病院の臨床現場で働く臨床医を辞めて、それ以外の道(職種)へとシフトチェンジするという選択肢も当然あります。
では、臨床医以外のキャリア(医師免許を活かした働き方)にはどういった種類の仕事が考えられるでしょうか?
また、医者そのものを辞めた場合、臨床現場以外の他業種ではどのような仕事の可能性があるのか、医師以外の仕事を調査してみました。
目次
医師免許を活かした臨床医以外の働き方
いわゆる臨床現場で活躍するドクター以外の働き方には、大まかに二通りがあります。
MD(メディカルドクター)、産業医、研究医、保険会社の社医など
2、医師の資格をまったく活用しない業界(他業種)への転職
ライターや執筆業(監修も含む)、医療用アプリ会社、外資系、経営コンサルティングなど
この二種類の働き方が考えられます。
近年は臨床以外のフィールドでも医師の経験とスキルが求められるようになってきており、民間企業における募集も増えてきています。また、資格を生かして製薬会社や保険会社、研究機関、専門学校の講師、コンサルタントや起業など、医師以外の道に進むケースもあります。
それでは、これらの関連業種や他職種それぞれの働き方や年収、そしてメリット・デメリットなどを順番に詳しく見ていきましょう。
製薬企業のMD(メディカルドクター)になるケース
海外の製薬メーカーでは、医師が薬の開発に携わることは珍しくありません。
そのような外資系製薬メーカーが日本に進出してきたことで、最近では日本の製薬メーカーも積極的にMD(メディカルドクター)を採用するようになっています。
製薬会社で勤務する医師は、主に次の3つの部門に所属しています。
2、安全性評価部門
3、メディカル・アフェアーズ(市販後調査)部門
製薬会社で勤務する医師の働き方に関しては、詳しくは関連記事「製薬会社でのメディカルドクターMDの仕事内容」に書いていますので興味のある方はご覧になってください。
MD(メディカルドクター)の平均年収は、1,500万円~2,000万円程度で、これが一般的だと言われていますので勤務医と比較しても同程度が稼げます。
医療分野の研究に従事する「研究医」
「研究医」といっても臨床医学の研究ではありません。
大学や研究機関に所属して基礎医学の研究を主としている医師を指します。
もちろん、臨床研究という言葉通り、臨床医も研究を行っていますが、研究に専念しているかどうかという点で、臨床医と研究医は異なります。
研究医の主な使命は、現在、治療の手立てがない病気の発生メカニズムや原因の解明、治療方法を確立すること。数年単位の根気がいる仕事ですが、将来の医学に貢献できるというやりがいがあります。
ただし、研究医は臨床医に比べ給料にはかなりの差があります。
デメリットとして、臨床医を掛け持ちしないと収入的に厳しく、研究に打ち込みづらいという問題があります。
保険会社の社医として働くケース
他には保険会社の社医という仕事もあります。
「日本生命」や「明治安田生命」などの大手の生命保険会社が社医を募集しています。
社医の仕事内容は、主に、「保険を引き受ける際のリスク測定(診査)」、「医的リスクの大きさを判断する(引き受け査定)」、「保険金を支払う際の公平性のチェック(支払い査定)」などを行うのが業務内容となります。
社医の年収ですが、週5日勤務の正社員で1,200万円~1,400万円あたりが相場です。
医療機関で働く医師と比べた場合、年収は決して高いとはいえませんが、「勤務時間が安定(9時~17時)している」「完全週休2日制&有給も取得しやすい」など、ワークライフバランスを実現しやすい環境が魅力です。
公務員として保健所で働くケース
また、公務員として保健所で働くというケースもあります。
仕事は多岐にわたり、HIV検査を含む無料相談、感染症の予防接種、訪問指導などのサービスに加え、各機関を管理するのも保健所の仕事。飲食店や興行場、美容院などの営業許可や立ち入り検査のほか、病院への立ち入り調査も行っています。医療的な側面を持つ仕事であることから、医師免許所有者がいることが必須となります。
病院等医療機関に勤務する医師に比べると年収は決して高くはありません。
例として、30歳前後の技師級で年収約800万円前後、35歳前後の係長級で約950万円前後、37歳前後の課長補佐級で約1050万円前後、45歳前後の課長級で約1300万円前後、50歳前後の次長級で1400万円前後が目安となりますが、実際には各自治体によって様々です。
医師免許を活かしたそのほかの働き方
最近では、医師免許を活かしたライター(執筆業)・監修者としての働き方というのも注目されています。
医療の専門家から発信する一般人に向けた情報は価値が高いことから、多くの医師免許取得者が専業・副業として執筆活動やアプリ開発等に従事しています。
ライター・監修者の仕事では、医師本人がライティングを行うことは少なく、ライティングはメディカルライターが行い、医師はその文章が医学的に問題ないかどうかを確認するという仕事になります。
産業医やMDの求人に強いおすすめ転職エージェント
産業医やメディカルドクターの求人を探す場合は、一般企業とのパイプを持っている医師向け転職エージェントを利用するのがおすすめです。
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各転職サイトのコンサルタントは医療業界の内情にも詳しいので、医師としてのキャリア形成に悩まれている方は、まずは相談だけでもしてみると良いかもしれません(すべて無料)。
医師の資格をまったく活用しない業界への転職
医者の中には医師免許をまったく必要としない外資系の会社へ転職する方もいます。
主な業種としては、銀行、投資会社、買収合併支援、経営コンサルティング、会計事務所などがあります。
その理由として、銀行、買収合併支援、経営コンサルティングでは、顧客に医療機関や医師が多いという背景があるからです。ですから医師出身の銀行パーソンやコンサルタントが活躍できる可能性はあります。
ただし、他業種への転職はリスクも大きいのは事実です。
医者とは全く関係のないような職業ジャンルであれば、当然ゼロからのスタートになると言うことをしっかりと覚悟しておきましょう。
ハイクラスな一般企業の求人に強いおすすめ転職エージェント
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医師が他業種に転職する場合は、こうしたハイクラスの求人を扱う転職エージェントを利用することで良い環境の働き方を手に入れる可能性が高まります。