医師という職業は、やりがいの裏に責任やプレッシャーが大きくのしかかる仕事です。
当然、抱える仕事の悩みには医師ならではの理由が数多くあります。
そこで、今回は医師が抱える仕事の悩みをランキングにしてみました。
目次
1位 人間関係に関する悩み
多くの医師が抱える悩みとして、まず「人間関係」が挙げられます。
医師を対象にした様々なアンケートや調査の結果を見ると、医師の悩みやストレスの原因の上位には「人間関係」や「長時間労働による激務」、そして「給与などの待遇面」などがよく挙がっています。
では、まずは医師が抱える人間関係の悩みから具体的に見ていきましょう。
上司や他の医師と上手くいかない
常に緊張感のある病院や医局内での人間関係に悩む医師は昔から多いです。
経営陣の医療方針をはじめ、根本的な医療や経営に対する考え方の相違などから、教授や上層部の医師と対立に悩むケースも多々あります。
経営陣と現場の医師との対立に挟まれてしまい、ストレスを感じるといった悩みもあるようです。正しいと思っても、入局後数年ではまだ発言権はほとんどなく、意見を言ってもなかなか通らない事もしばしば。
また、他科の医師とのトラブルや、若い研修医との意識の差なども悩みの原因になります。
看護師や薬剤師との人間関係が上手くいかない
医師の人間関係の悩みでよく聞かれる内容に、看護師とのトラブルがあります。
特に若い医師の場合、ベテランの看護師からの対応に悩むケースや、自分勝手なスタッフが非常に多いなどの悩みが後を絶ちません。
また、院内処方を行う医療機関では医師と薬剤師のトラブルもあり、受付スタッフなどとの問題も取り沙汰されます。
患者や家族とのトラブル
患者さん自身やその家族とのトラブルも、医師が抱える悩みのひとつです。
患者さんと揉め、医療訴訟に発展するケースなどはその最たる例ですね。
毎日プレッシャーの中で最大限の注意を払いながら診察をしています。
また、近年では患者や家族の理不尽な要求やクレームなどが増え、対応に神経をすり減らす医師が多い状況です。医師と患者の距離が近くなった現代では、双方のコミュニケーション力が求められます。
◆医師の人間関係の悩みを解決する方法はこちらの記事を参考にしてください。
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2位 激務や長時間労働の悩み
人間関係に続いて医師の仕事で多いのが「激務」の悩み。
激務により時間通りに規則正しい生活を送ることができないことです。
医師の仕事は、人の命を救えるやりがいも大きいですが、心身ともにハードワークであることに間違いはありません。
緊急手術、当直やオンコールがきつい
特に大変なのは、急性期と呼ばれる「外科」や「産婦人科」、また救急のある病院で働いている臨床医。こうした科では、容体が急変して飛び込んでくる患者がいるため、医師は24時間体制で呼び出しに備えることになります。
緊急手術、当直やオンコールの連続で体力的に負担が大きくなり、体調を崩してしまう医師もいます。
Twitterでも当直に関する医師のツイートがありましたのでご紹介します。
正直、眠すぎて深夜に救急車を断った事が何度もある。寝ないで翌日の手術は本当にしんどい事がわかっているから。
先月から今の病院では当直明けが休みになった。正直気が楽だし、救急車も断らずに済むと感じる。
もしかして救急車のたらい回しの解決策って医師の労働環境の改善なんじゃ…?
— Toyoaki Sawano (@Toyoakisawano) December 27, 2019
過労死基準を超える労働を強いられるケースも
また、医師不足が深刻な医療機関では、近年でも過労死基準を超える労働を強いられるケースもあります。
当直や時間外労働の手当を支払わないなど、医師の犠牲によって経営が成り立っている病院では、人事担当者でさえ医師がどの程度超過勤務をしているのか、確認できていないケースは少なくありません。
2017年に出された「働き方改革実行計画」においても、労働基準法に反する医師の過酷な働き方は、事実上放置されているという現状があります。
私は、11月に13連勤1休み13連勤があったんです。24時間当直たくさんしました。学会も勤務扱いで行ったんです。そしたら産業医からの呼び出しにあいました。
超勤を正しく申請するとほとんどの医師は労基に引っかかります。下方修正して超勤申請しないといけない職業なんだなぁ。(しみじみ)
— コロナウイルス診療について話す人 (@KotaMaltaT) January 8, 2020
3位 給料や待遇面での悩み
一般の会社員に比べ、医師の年収は非常に高い金額が提示されています。
しかし、多くの医師は労働時間や仕事内容、責任の重さを考えた時、働いた分と年収が見合っていないと悩む医師も多いようです。
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給与が割に合っていない
転職サイトの実際の事例を見ても、激務でありながら年収が低く、今のペースで働き続けるのが割に合わないという理由で転職している医師も多いです。
また、医療機関によって年収の基準が異なるため、特に医局勤務の医師が同級生や同年代の民間病院の医師と比べて、その給料の差に愕然とするといった悩みもあります。
人事異動が多い悩み
医局の医師に多いのが、人事により数年単位で突然の異動が繰り返されることの悩みです。
医局長や教授が権力を握る人事は、必ずしも自分の希望通りに進みません。
まして、家族やパートナーがいる医師は、人事異動による転勤が常に悩みの種として付きまといます。
私が現時点まで医局に入っていない理由に異動が多いということが挙げられる(母校の某外科では最初の何年間かは一年毎に異動があり、評判の良い病院と悪い病院を交互にローテートする)。
しかし、同じ病院に長いこといるとそれはそれでマンネリ化してくるのも事実ではある…。 https://t.co/luchIU4xr7— 総合外科医 Dr.T (@surgeon_DrT) October 1, 2018
仕事の悩みを解決するため転職する医師が増えている
こうした医師が仕事の悩みを解決する方法として「転職」という選択があります。
職場環境の悪さと人間関係のトラブルなどが重なると、正常な業務がままならないと判断した医師は別の病院へ転職を考えるきっかけになるようです。
また資格を生かして製薬会社や保険会社、研究機関、専門学校の講師、コンサルタントや起業など、医師以外の道に進むケースもあります。